小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

最後の魔法使い 第五章 『再会』

INDEX|10ページ/10ページ|

前のページ
 


「えーと…確かこのあたりのはず…。」
アレンはジュダに渡されたメモを頼りに、大通りから少し離れた場所を歩いていた。そこは、アレンがウエストで勤めていたような木工所や、製鉄所、機織り所など、工場が立ち並んでいた。ジュダが頼んだものは、この一帯のはずれにある革製品を作る工場にある。メモには『革表紙のノート5冊。中身を確認すること!』とあったが、実際何を確認すればいいのかアレンは知らなかった。いつも肝心なところが抜けているのは、フォン・ジアーズ家特有なのだろうか?
やがて、ガラス工場と麻製品の工場の間に、アレンはそれらしき建物を見つけた。『革職人キャットソン』と書かれた看板の下のドアから、アレンは中に入った。革独特のにおいが鼻をついた。
「こんにちは」アレンはそう言い、マントから頭を出した。まずいかもしれないと思ったが、室内で顔を隠すのも馬鹿らしいともアレンは思った。
「こんにちは。どうぞこっちへ。寒いですから。」
感じよくアレンを出迎えたのは、背の高い、黒髪の若い男だった。年はアレンと同じか、少し上くらいに見えた。作業着なのか、荒い麻で織られたシャツは、あちこちに穴が開いていた。
「ちょうど今休憩中で、リカーを作ったところだったんです。持ってきますから、そこの椅子にかけていてください。」男はそう言って、足早に奥へ去って行った。
工場の中は暖かかったので、アレンは重いマントを脱いだ。工場内は小さく、点々と作業台が置かれている以外はやけにがらりとしていた。ざっと見渡しても、革製品と言えるものは何一つ見当たらなかった。
すぐに、さっきの男がマグにたっぷりと入ったリカーを持ってきた。「ありがとうございます」と言って、マグを受け取ろうとした瞬間、アレンはあっと声をあげた。
「キース!」
アレンの学生時代の親友、キース・アストルは、驚いて危うくマグをアレンの足の上に落としそうになった。