【無幻真天楼 第二部・第一回】夢風鈴
「ん…ぅ」
京助が閉じていた瞼をゆっくり開ける
少し痛いようなそんな感覚で更に瞼を開ければ見慣れた部屋
網戸から朝の匂いを含んだ風が入ってきて鼻に届いた
寝るときはかけていたであろうタオルケットは体の下に巻き込まれている
「…何時…」
ボリボリと脇腹を掻きながら時計を見ると短針は四と五の中間を指していた
「…よじはん…とか;」
口の端をへっとあげて呟くと膝をついて立ち上がる
延びをすると電気の紐に手が触れた
なんとなく窓に近づいて網戸を開けると朝日で照らされた景色がまだショボショボする目に映り京助が目を細める
そして無意識に深呼吸をした
漁師町である正月町だけあって磯船のエンジン音やウミネコの鳴き声が微かに聞こえる
たまにそれに車の走行音が混ざる
ぐちゃぐちゃの布団を踏んで京助は部屋を出た
キシキシ鳴る廊下を歩き縁側のある和室まで来ると足を止めた
まだ皆寝ているのか静かな家の中
軒下に釣り下がっている風鈴は鳴りそうで鳴らない
自分の部屋にいたときより聞こえるようになったウミネコの鳴き声と磯船のエンジン音
「……」
京助が和室に足を踏み入れ縁側から庭を見る
悠助のお気に入りのジョウロ
トグロを巻いたホース
洗濯物のかかっていない物干し竿
朝露に濡れた朝顔
その隣には数本のひまわり
「夢…だった…とか…か?」
どっちが現実
どっちが夢幻
そしてどっちを自分が望むのが
伸縮する鳥類
最強で最凶の笑顔
大食い魔人
ヘラリ眠気
悠助の嫁
おちゃらけた天才
お面小僧
泣き虫
わがままお姫様
悪友の変身付き人
双子の変化犬
夏の妖怪…妖精
自分のちょっとかわった父親
そして
京助が閉じていた瞼をゆっくり開ける
少し痛いようなそんな感覚で更に瞼を開ければ見慣れた部屋
網戸から朝の匂いを含んだ風が入ってきて鼻に届いた
寝るときはかけていたであろうタオルケットは体の下に巻き込まれている
「…何時…」
ボリボリと脇腹を掻きながら時計を見ると短針は四と五の中間を指していた
「…よじはん…とか;」
口の端をへっとあげて呟くと膝をついて立ち上がる
延びをすると電気の紐に手が触れた
なんとなく窓に近づいて網戸を開けると朝日で照らされた景色がまだショボショボする目に映り京助が目を細める
そして無意識に深呼吸をした
漁師町である正月町だけあって磯船のエンジン音やウミネコの鳴き声が微かに聞こえる
たまにそれに車の走行音が混ざる
ぐちゃぐちゃの布団を踏んで京助は部屋を出た
キシキシ鳴る廊下を歩き縁側のある和室まで来ると足を止めた
まだ皆寝ているのか静かな家の中
軒下に釣り下がっている風鈴は鳴りそうで鳴らない
自分の部屋にいたときより聞こえるようになったウミネコの鳴き声と磯船のエンジン音
「……」
京助が和室に足を踏み入れ縁側から庭を見る
悠助のお気に入りのジョウロ
トグロを巻いたホース
洗濯物のかかっていない物干し竿
朝露に濡れた朝顔
その隣には数本のひまわり
「夢…だった…とか…か?」
どっちが現実
どっちが夢幻
そしてどっちを自分が望むのが
伸縮する鳥類
最強で最凶の笑顔
大食い魔人
ヘラリ眠気
悠助の嫁
おちゃらけた天才
お面小僧
泣き虫
わがままお姫様
悪友の変身付き人
双子の変化犬
夏の妖怪…妖精
自分のちょっとかわった父親
そして
作品名:【無幻真天楼 第二部・第一回】夢風鈴 作家名:島原あゆむ