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鬼城 地球
鬼城 地球
novelistID. 15205
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Ambassador of chaos K  眠らされた剣

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 右京の依頼を受けたKとS、彼から手渡された封筒には三枚の紙が入っておりKはそれに目を通していた。
 二枚は、右京の手によって書かれたとみられる便箋。
 残りの一枚は、古ぼけた紙をコピーしてある印刷紙だった。

 右京の手紙には、こう書かれていた。

『【草薙剣】の在処には数々な説がありますが、実のところ【草薙剣】が天皇陛下に戻ったことは、壇ノ浦の戦いで水没して以来それから一度もありません。
ですが、【草薙剣】は明治時代のとある泥棒によって引き上げられています。
その泥棒の名は、光上泥(こうじょうでい)……
彼によって【草薙剣】は隠されそのままどこかに保管され続けているというのが裏の歴史です。
同封しているコピーはその彼が子孫のために残したと言われる【草薙剣】の保管場所の暗号だそうです。』

 一枚目を読み終わったKは、コピーを見た。暗号はこの次の通りだった。


『橘香り、桜散る都に雄々しくそびえる富士山のもとに眠れる剣あり』


 そして、二枚目の右京の手紙にはこう付け加えてあった。

『その暗号をもとにそのまま富士山の麓を探索しました。
ですが見つけることはできませんでした。
恐らく、暗号にある【都】とは京都のことではないでしょうか? 
もし、京都にいらっしゃって探索する場合は以下の連絡先で連絡をくだされば拠点を確保いたします。
名前などの心配いりません、京都には私の実家がございます。
それでは、良い知らせを待っています。』
 
封筒を読み終わったKは、少し笑っていた。

「はめようっていうのか……」
「何が?」
「あっちは、俺たちを監視するつもりだ」
「え? どうして? 宿を提供してくれるなんて親切な限りじゃないか!」
「よく考えろ、宿を向こう側から提供っておかしくないか? 家に人が増えたら怪しまれるのは、あっちだぞ」
「確かに」
「自分たちの監視下に置いて、面倒な動きを抑える気だ」
「考え過ぎだと思うけどなあ」
「まあいい、あっちがその気なら乗ってやって足元すくってやるのもいいな、クククッ」
「K……とりあえず、どうするか方針決めようよ」

 そうSに促されたKだが、うーんと考え込んだ。
 ああ言ったものの、慎重にかつ迅速にあまり知らない相手の依頼をこなすのも簡単なことではないと考えていた。

「正直、今回の依頼はただの珍品コレクターの依頼とは思えない……何か臭いんだよ」
「臭いって?」
「強いて言うなら、俺が信じないものの臭さだな」
「?」

 Kは、ひたすらに悩んだ……名前があまり外に出てはならないハッカーであるからあまり大まかな動きはできない。
 しかし、探し物の依頼はこれが初めてではないが、ある種初めてな気がする品。
 そして、三十分悩んだ結果が出た。

「仕方ねえな……向こうのお望み通りにしてやるか」
「了解、今すぐ手配するよ」

 そういったSは、すぐに公共交通機関の手配に入った。
 Sが部屋を出て行ったあと、ソファにどすっと体重を預けたKはため息をつきながらつぶやいた。

「まず俺には……信じているものなんてあるのか?」