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昨日の恋明日の恋

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昨日の恋


君が途中入社してきた時、少女いやむしろ少年のような印象を受けた。それから何日も経たないうちに社員旅行の日が来た。その社員旅行での行動の時にいつも君が側にいるのに気づいたんだ。あれっ、僕が気づかぬうちに側に行ってたんだろうか。まあ、それはどっちでもいいのだけれど。

君と僕は歩きながら焼きとうもろこしを囓っていて、橋のところに来た時にそれは囓り終えていたが、捨てる場所を探したが見つからない。僕が横にいる君を見た時に君も僕を見ていて、そしてやはり囓り終えたとうもろこしに視線がいった。

僕は囓り終えたとうもろこしをつまんでいる自分の指を離して、「あっ、手が滑った」と言った。後を追うように「あっ、私も手が滑った」と言う君の声が聞こえた。

囓り終えた僕のとうもろこしと君のとうもろこしが、ほぼ並んで橋下の川に落ちて行くのが見えた。君の方を見ると、君も僕の方を向いていてお互いにニッと笑った。

それから二人で土産物店を見て歩いた。君は色々なものを見て買うのを逡巡していた。それは男物のようでもあり、まだ君をよく知らない僕は軽い嫉妬のようなものを感じていた。

結局、君は自分の心に決断をつけるように買うのを止めた。気のせいか、それまで並んで歩いた距離がより近くなったように感じた。そう一歩近づいたという感覚だった。

作品名:昨日の恋明日の恋 作家名:伊達梁川