不妊であること
世の中には、彼女以上に不妊に苦しむ人がいる。
夫の協力が得られない人。
姑からプレッシャーをかけられる人。
跡取りを生まなければならないと責任を感じる人。
周囲の友達にどんどん子供ができてあせる人。
年齢的にタイムリミットの近い人。
職場の理解が得られない人。
治療が理由で仕事ができずストレスのたまる人。
治療費が家計を圧迫して生活が苦しい人。
挙げていけばきりがない。
中には、子供がほしくても絶対にできない人もいるのだ。
10組夫婦がいれば、そのうちの1組は不妊だと言われている。その原因は女性にしかないわけではなく、男性にある場合もあるし、両方にあることもある。
しかし、不妊を経験していない人に、その辛さは普通は分からないものだ。だからこそ「子供はまだ?」「早く子供作りなよ」などと言える。
それに、原因が両方にあろうと夫にしかなかろうと、その言葉を受けるのは、そして不妊であることに苦しむのはいつも女性なのだ。
もう少し、世の中に妹のような人が増えてくれたら。
彼女はいつもそう思い、薬局へ向かうのだ。