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アリス・スターズ
アリス・スターズ
novelistID. 204
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不妊であること

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 彼女は夫に電話をかけるため、携帯電話を取り出す。ストラップについている鈴がチリンと澄んだ音をたてた。
 しばしストラップを見つめる。
 それは彼女が妹からもらったものだった。
 コウノトリに運ばれる子猫をかたどったマスコットは、巷では子宝のお守りとして人気があるらしい。
 妹は現在2人目の子供を妊娠中。彼女は何の苦労もなく妊娠できる妹のことをうらやましく思い、同時に自分の体質を呪ったものだ。排卵誘発剤を飲んでも排卵する気配のないその体質を。
 しかし彼女は、妹を恨むことはできなかった。もちろんこのストラップをくれたことも理由の1つだが、妹はブログにこう書いていたことがあるからだ。
「どうしてお姉ちゃんにできなくて、私に――」
 この言葉で彼女は知った。
 妹は私の苦労を分かってくれているんだ、と。

 だからこそ、彼女は今でも妹と仲がいい。
 妹の1人目の息子にも何の気苦労も感じずに接することができるし、2人目の子供の誕生も心待ちにすることができるのだ。