【無幻真天楼第十四回・参】*あいのうた*
目が合った
笑ってたから
笑った
それから一年
一年前より伸びた髪と身長
一年前のあの日と同じ日
一年前のあの場所で
目が合って
笑ったから
笑おうとした
「いい天気だね」
声をかけられたから
「でも天気予報では雨みたいだけど」
「え? 困ったなー…どうしょ」
「うちの神社の境内でよかったら雨宿りでもしていけば?」
少しだけ会話を交わした
ハルミが中学に上がっての夏休みの早朝
小中学生にとってのお約束といえばラジオ体操だろう
その会場となっているのが別苅小学校のグラウンド
漁師町の正月町の朝は早い
朝6時ともなれば大体の家は活動を始めている
だからこの別苅小学校のグラウンドに人がいたっておかしいことではない
「覚えてたんだ俺のこと」
「やっぱり去年もそこに座ってたよね? その変な格好で」
ただおかしかったのはその人物の格好
去年もこの格好だった
「ひっで;」
【そこ】とはジャングルジムの上のこと
「ここは眺めがいいから」
朝日に緑色の長い髪がきらきらと光っていた
「名前は?」
「栄野ハルミ。アンタは?」
「あー…俺は…竜…之助?」
なぜか疑問系に名前を言ってきた竜之助にハルミが首をかしげた
「苗字は?」
「ない」
「…変なの」
立ち上がった竜之助がストンと地面に着地するとハルミを見る
金色に近い目が笑った
「高校生?」
「違う」
「じゃぁ大学生? それとも…」
ふわっとハルミの体が浮いた
笑ってたから
笑った
それから一年
一年前より伸びた髪と身長
一年前のあの日と同じ日
一年前のあの場所で
目が合って
笑ったから
笑おうとした
「いい天気だね」
声をかけられたから
「でも天気予報では雨みたいだけど」
「え? 困ったなー…どうしょ」
「うちの神社の境内でよかったら雨宿りでもしていけば?」
少しだけ会話を交わした
ハルミが中学に上がっての夏休みの早朝
小中学生にとってのお約束といえばラジオ体操だろう
その会場となっているのが別苅小学校のグラウンド
漁師町の正月町の朝は早い
朝6時ともなれば大体の家は活動を始めている
だからこの別苅小学校のグラウンドに人がいたっておかしいことではない
「覚えてたんだ俺のこと」
「やっぱり去年もそこに座ってたよね? その変な格好で」
ただおかしかったのはその人物の格好
去年もこの格好だった
「ひっで;」
【そこ】とはジャングルジムの上のこと
「ここは眺めがいいから」
朝日に緑色の長い髪がきらきらと光っていた
「名前は?」
「栄野ハルミ。アンタは?」
「あー…俺は…竜…之助?」
なぜか疑問系に名前を言ってきた竜之助にハルミが首をかしげた
「苗字は?」
「ない」
「…変なの」
立ち上がった竜之助がストンと地面に着地するとハルミを見る
金色に近い目が笑った
「高校生?」
「違う」
「じゃぁ大学生? それとも…」
ふわっとハルミの体が浮いた
作品名:【無幻真天楼第十四回・参】*あいのうた* 作家名:島原あゆむ