ロザリオの秘密
「わっ!」「きゃっ!」
志郎と蘭子は突然のことに驚く間もなく声を上げて地面に倒れた。
その拍子に志郎の首からロザリオが外れて、蘭子の目の前に飛んできた。
「イタタタ……あれっ、これは?」
蘭子はそのロザリオを手に取り、じっと眺めた。
「あっ、ごめん。それは俺の……」
志郎はぶつけた腰をさすりながら手を伸ばそうすると、蘭子がまじまじと志郎の顔をみつめた。
「私のと同じ」
蘭子がそう言いながら、自分の首にかかっているロザリオをブラウスの襟元から引っ張り出して志郎に見せた。
「あ、同じだ……でもどうして? それは先祖代々の我が家に伝わるものなのに」
「まあ、私のもよ。偶然ね」
思えばそれは偶然というより必然だったのだろう。
志郎と蘭子は身体の土をふるって立ち上がると、改めて互いの正面に立った。
「ぶつかってゴメン」
「いいえ、私の方こそ。突然走り出したから……」
志郎は鹿児島から、友人達とこの大分の別府に遊びに来ていた。
現在高校3年生。
方や蘭子は東京の高校に通う2年生。修学旅行で別府へ来て、地獄巡りの途中だった。
別府の地獄めぐりには、海地獄・鬼石地獄・山地獄・かまど地獄・鬼山地獄・白池地獄・血の池地獄・竜巻地獄の八つの地獄があり、修学旅行のメッカでもある。
蘭子が友達とはぐれそうになって慌てて走り出した時、たまたま竜巻地獄の写真を撮っていた志郎が後ろを見ないで後ずさったので、思いがけず衝突してしまったのだった。
しかしたまたま目にしたお互いのロザリオが同じだったことを切欠に、二人はメアドを交換し、その後も交流を続けた。
志郎と蘭子は突然のことに驚く間もなく声を上げて地面に倒れた。
その拍子に志郎の首からロザリオが外れて、蘭子の目の前に飛んできた。
「イタタタ……あれっ、これは?」
蘭子はそのロザリオを手に取り、じっと眺めた。
「あっ、ごめん。それは俺の……」
志郎はぶつけた腰をさすりながら手を伸ばそうすると、蘭子がまじまじと志郎の顔をみつめた。
「私のと同じ」
蘭子がそう言いながら、自分の首にかかっているロザリオをブラウスの襟元から引っ張り出して志郎に見せた。
「あ、同じだ……でもどうして? それは先祖代々の我が家に伝わるものなのに」
「まあ、私のもよ。偶然ね」
思えばそれは偶然というより必然だったのだろう。
志郎と蘭子は身体の土をふるって立ち上がると、改めて互いの正面に立った。
「ぶつかってゴメン」
「いいえ、私の方こそ。突然走り出したから……」
志郎は鹿児島から、友人達とこの大分の別府に遊びに来ていた。
現在高校3年生。
方や蘭子は東京の高校に通う2年生。修学旅行で別府へ来て、地獄巡りの途中だった。
別府の地獄めぐりには、海地獄・鬼石地獄・山地獄・かまど地獄・鬼山地獄・白池地獄・血の池地獄・竜巻地獄の八つの地獄があり、修学旅行のメッカでもある。
蘭子が友達とはぐれそうになって慌てて走り出した時、たまたま竜巻地獄の写真を撮っていた志郎が後ろを見ないで後ずさったので、思いがけず衝突してしまったのだった。
しかしたまたま目にしたお互いのロザリオが同じだったことを切欠に、二人はメアドを交換し、その後も交流を続けた。