ぼくんちはおばけやしき
こうこうと輝く満月の明かりがいっそう明るくなったと思ったら、宇宙船がぼくんちの上にやってきて、静かに庭に降り立った。
「エリーがお世話になりました」
宇宙船の船長さんは、りっぱなひげのかっぷくのいい初老の人で、流ちょうな日本語でお礼を言ったので、みんなびっくりした。
「いえいえ、こちらこそ」
お父さんは握手しようと手を出したもの、相手が小さい人なので、あわててひっこめたんだ。
エリーと別れを惜しんでいる間、エリーの乗ってきた小型の宇宙船はなかに運び込まれた。
「サヨナラ。ユウタ」
「さよなら、エリー。楽しかったよ」
「サヨナラ。ミナサン」
こうしてエリーは宇宙の彼方へ帰って行った。
ぼくたちはいつまでも見送った。
こうしてぼくんちはお化け屋敷じゃなくなったんだ。
作品名:ぼくんちはおばけやしき 作家名:せき あゆみ