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「レイコの青春」 25~27

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 「厚生病院」という市内では、もっとも高度な医療技術を誇る、
大規模医療施設に搬送されたという事実が、
美千子の不安をかりたてました。
急いで駆けつけてくださいという言葉を最後に、電話を切った瞬間、
すでに、ただならぬ事態を思い描いて、美千子は我を失いかけています。
事態を察したマネージャーが、急いで車の手配をしています。


 病院へ向かう車中で、美千子は
自らに冷静になれと言い聞かせながらも、
あらため、て園長先生の言葉のひとつひとつを検証していました。
突然の呼吸停止が意味するものは・・・
救急病院へ緊急搬送されたという事態がしめす訳とは・・・
まもなく午後10時を過ぎようとする時間帯での緊急連絡です。
保育園から職場にかかってきた電話の中身は、どう考えても
娘の身に、命にかかわる重大事態が進行していることばかりが
直感されてなりません。
蒼白の美千子を気遣って、付き添いとして同行してくれた同僚の励ましも
美千子の耳には、まったく聞こえません。



 病院の夜間入口のドアの前では、レイコと幸子が
美千子の到着を、早い時間から待ち構えていました。
よろめくように車を降りた美千子を、レイコがしっかりと受け止めます。
夜間用照明だけが点灯された暗い廊下を通り、
3階に有る集中治療室までは、両側からレイコと
幸子がしっかりと支えます。
そのすぐ後を歩く同僚のヒールの靴音だけが、
静かな病院内へ響きます。



 集中治療室の前では、
白い顔をした園長先生が、無言のまま立ち尽くしています。
集中治療室内は、物音ひとつ聞こえないほど静かで、
静まりかえっています。