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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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Sunlight-あたしと彼女の小生意気奮闘記-(1)

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 未知流は靴を履いて全速力で傾斜のある坂を下って行った。

 一応、道路のど真ん中を走って校門を出ていき、さらに続いている坂の真ん中を駆け抜けていく。その苦虫を噛んだような姿が、この学校にいる学生たちの注目の的になっていることも知らずに、いや、知らないふりをしていた。彼らを見ると、余計に心苦しくなるのだ。自分のことを蔑んでいるように見えるから。麻倉音緒が与えた友好協定書のど真ん中に穴をあけたことに、『おまえは逃げた』、『弱虫!』等の非難と言う名の無数の針に刺されるという痛々しい感覚から逃れたくてしょうがなかった。

 孤独を貫いている未知流にとって、初めての屈辱だった。こんな気持ち、空手でもなかったのに!

 とにかく走り続けた。アイツが諦めるほど、本気で。

 道行く生徒を抜き去り、坂道を下り、そしてあっという間に藤生駅裏と駅前をつなぐ歩道橋
へと辿り着く。学生の誰よりも早く。

「あー、もうっ!」

 ちょうど真下から電車が見える見晴らしのいいところで揺さぶられた心を沈静すべく、漆黒
の髪をかき乱した。

 ハア……ハア……と息が乱れる。

「なにやってんだよ……もう……」