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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十四回・弐】ひまわり

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社務所の奥に隠すように置かれていた古い石造りの狛犬をハルミが撫でる
その傍でコマとイヌに手をかざす竜
「本当に狛犬だったのね…コマとイヌ」
「ああ…」
ハルミが竜の隣に座ると
「…何か言うこと あるんじゃない?」
竜の顔を覗き込んだ
「…ただいま」
「おかえり なさい…」
竜がハルミを抱き寄せる
「いろいろ…あったのよ? 7年だもの…大きくなったでしょ京助…悠助もね小学生なのよ?」
「そうだな…大きくなった な」
ハルミが少女のように笑いながら話すのを目を細めて聞く竜
「私も…すっかりおばさんになっちゃったし…当たり前よね…7年…」
「…ハルミ…」
途中から震えだしたハルミの声
「ごめん…な」
「そればっかりッ!!」
ハルミが声を荒げた
「私は謝ってほしいわけじゃないッ!! ただ私は…ッ…」
「変わらないな」
目を細めたまま笑った竜の頬をハルミが思い切りひっぱる
「どうしてアンタはいつもいつもッ…!! どうして…」
竜の頬を引っ張っていた手から力が抜けその手でハルミが顔を覆った
「っ…ばかぁ…」
「ごめん」
「だからッ…謝るなっていってんでしょッ…」
顔を覆うハルミの手を優しく掴むと竜が頬に口付けると
「本当に変わらないな…初めて会った時のままのハルミだ」
そのまま抱きしめた
「なにっ よそれぇ…」
竜の体を押してハルミが言う
「俺が一目惚れしたハルミのまま」
「う…うるさいッ!!」
「ほらそんなところも変わらない」
「うるさいっていってんでしょッ!!!;」
涙を流したままハルミが怒鳴る
「素直じゃないところ…意地っ張りなところ、可愛くないところ」
「っ…;」
ハルミが拳を作ってふるふると腕を振り上げている
「すぐ赤くなるところ…」
「竜之助ッ!!!;」
「俺のハルミだ」
拳を振り下ろそうとしていたハルミに竜が抱きついた
「…」
ハルミがゆっくり腕を下ろすと竜の頭を撫でる
竜が顔を上げた
「待ってたんだから…」
「ああ…」
「ずっとよ? ずっと…」
見上げたハルミの目からこぼれた涙が竜の顔に落ちた
「ごめんな」
「また…ッ…だから謝るなって…ッ…」
竜がハルミの腕を引っ張るとハルミが竜の腕の中に納まる
今度はハルミが竜を見上げると竜の手がハルミの頬に触れた
ハルミがゆっくりと目を閉じ7年分の想いを込めた口付けを交わす
「…ばか…」
ハルミが竜の胸に顔をうずめた