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「レイコの青春」 22~24

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 「無認可が悪いという話ではありません。
 しかし無認可のままでは、自治体や県からの補助や
 援助に限界が生じます。
 保育費が高いままであったり、
 設備や環境の整備にも時間がかかってしまいます。
 よりよい保育環境と保育の実現のためにも、、
 まずは認可保育園の基準を満たした、保育園作りの
 計画を立てるべきです。
 定員は60人以上で、敷地面籍は厚生省の指導基準を上回るだけの、
 広い敷地を必ず確保しましょう。
 続いて、運営主体のための社会福祉法人を作ります。」


 ざわめきはじめた参加者たちを、静かに見回した斎藤園長が
ここで初めて、にこりと笑って身体を前に乗り出しました。
ひそひそ話をするときのように、声のトーンを一段階ほど低くします。


 「たいそうな取り組みのようにも聞こえますが、
 実は、かく言うわたしも園長になる前は、
 生協で働くの職員の一人でした。
 さくらんぼを立ち上げた社会福祉法人の皆さんも、
 あなたたちとまったく同じように、
 乳飲み子をかかえながら、働くお母さんがたなのです。
 埼玉県で出来て、群馬に出来ないことはないでしょう、
 第一、ここは女性が強いと言う、かかぁ天下の国ではありませんか。
 私たちも全面的に応援をいたしますので、是非、
 この取り組みを大きく進めてください。
 ゼロ歳児や一歳児を預かってくれる、認可保育園の誕生は、
 働く女性たちの未来を、大きく切り開く仕事です。」


 最初の学習会には父兄の8割以上にあたる、25人が集まりました。
これにはその準備に携わってきた、美千子と靖子も驚きました。
「本気という気持ちは、必ず人を動かします。」斎藤園長のすぐわきで、
熱心にメモを取っている陽子を指さしながら
園長先生がほほ笑みました。


 「陽子さんが、園児のお宅を一軒づつ説明して回ったそうです。
 それにしても、メガネからコンタクト・レンズに変えた彼女は、
 本当にチャーミングで、美人さんですねぇ。
 美千子さん、あなたの見事なアドバイスだそうですね、
 やはり女性には、輝くような美しさが大切です。
 あとは、あなたが、男性の操縦術を教え込めば、
 陽子さんは、ほぼ完ぺきになるでしょう。ほほほ・・・・あら、失礼。
 美千子さん、陽子さんを引き受けた以上、あなたの責任は重大です。」


 靖子が横から口をはさみます。


 「でも、園長先生。
 美千子さんは、男運が良すぎて捕まえるのも得意ですが
 その結果、すでに二回も辛酸を体験しています。
 よろしいのでしょうか、
 この世に、そんな女性ばかりを増やしても。」



 「あなたたちお二人も、羨ましいくらいにとても仲の良いコンビです。
 それもまた運命でしょう。
 人生に、苦難や試練は、最初からつきものです。
 雲は流れるままに、風もまた吹くままにというくらいですから、
 花が散るのも、またいた仕方ありません。
 さて・・・斎藤園長の熱演中に、雑談ばかりでは不謹慎すぎますね。
 つつしんで拝聴いたしましょう、皆さん。」