「レイコの青春」 22~24
古民家を改造して、新しくスタートをなでしこ保育園では、
この当時、30名を越える園児たちがいました。
園長と幸子の他に、4名の保母が勤めていましたが
それだけでは人員が足りません。
父兄の中からボランティアとして、交代当番制で2名づつが
保育ママとして運営に参加をしていました。
無認可保育園ゆえの公費援助の限界が、
保母や事務職員の雇用に対して、大きな支障を生んでいました。
不足分を保育費に転嫁してしまうと、父兄の負担が高額になり過ぎます。
保母さんたちは、安い給料と過酷な条件のなかで、
ひたすら使命感でだけで頑張っているという現状もありました。
預ける側にとっても、預かる側にしても、認可保育園の建設は、
実は共通の夢なのです。
第一回の学習会ののちに、靖子を委員長に、
美千子を事務局長に選出をして、参加した全員が準備委員になるという
決定がなされました。
こうして、正式に「なでしこ保育園」を認可保育園にするための
準備室が、ようやく発足をしました。
1972年の秋も深まり、冬の気配もすぐそこまで来ています。
レイコはまだ連日、深夜におよぶ勉強で四苦八苦しつつ、保育理論に
取り組んでいる、まさにその真っ最中での出来事でした。
(25)へつづく
作品名:「レイコの青春」 22~24 作家名:落合順平