「レイコの青春」 19~21
多くの無認可保育園で抱えている問題の一つが、
財政面におけるひっ迫です。
とりわけ運営費の不足は深刻です。
公立や私立の認可保育園では、ほとんどの運営費は
国と地方自治体からの助成金でまかなわれています。
その割合は、実に80%を越えています。
※認可保育所とは、
児童福祉法に基づく児童福祉施設のことで、国が定めた設置基準
(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理など)
をクリアして、都道府県知事に認可されている施設をさしています※
これにたいして認可外保育施設(にんかがいほいくしせつ)とは、
児童福祉法で言う「保育所」には該当しない保育施設のことで、
認可外保育所や、認可外保育施設などと呼ばれています。
設置には、児童福祉法第59条の2による届出が必要とされる施設の
ことで、俗に「無認可保育所」と呼ばれています。
無認可保育所では、
保育のサービス内容や保育料などは、施設ごとに自由に設定ができます。
また、保育定員が5名以下の施設では、設備や保育内容についての
公的基準は適用されません。
多様に自主的に運営ができる半面、国や自治体による
運営費への補助は、きわめて低水準に据え置かれています。
施設や条件面でも、児童福祉法で言う保育所の基準を満たしていなくても
開設はできますが、財政面での補助は、
公立や私立の認可保育園の数分の一から
10分の一以下にまで減額されてしまいます。
無認可の「なでしこ保育園」では、
ゼロ歳児や一歳児の保育が多いために、その結果として
諸経費がかさみます。
それが、そのまま保育料にもはねかえります。
これらは、無認可ゆえの苦しい台所事情といえました。
「なでしこ」では、次の目標として、
現在の共同保育園をさらに成長させ、国の基準を満たした
認可保育園の建設を目指すことが、利用者たちを中心に決まります。
そしてそのための準備室が、職員と父兄たちによって開設されました。
作品名:「レイコの青春」 19~21 作家名:落合順平