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夢見てばかりもいられない

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[終結]



理或は、お気に入りのパジャマ姿だ。
今から眠るのではない。
もう、眠って夢の中で今夜も遊んでいる。
お気に入りのパイル地のぬいぐるみを手にとって抱きしめる。
ひんやりとしたシーツの敷かれた体にフィットする敷布団に横たわる。
襟元の感触が柔らかく気持ち良い肌掛け布団をかけた。
愛着のピロー。
あれ?ピローカバーがいつものと違う。
柄も肌触りも理或のいつものものではない。
急に落ち着かなくなり、部屋を見回す。
もちろん、夢の中の出来事。
眠っているのに感じる動機。
冷や汗までは出ていないものの、苦しささえ感じる。
「僕は、どうしてしまったのかな…。こんな夢は初めてだ」
起きようかと理或は、身を起こそうとするが動けない。
「や、いやだ。やだよー」
布団から出られない。掛け布団が体から離れない。
すると、どこからか声がする。
「ずっとここに居ればいいよ。ずっと包んでいてあげる」
「え?キミは誰?」
「わからないの?忘れたの?うふふ…ふふふふ…」
理或は、その声が布団だと何故か思った。
「僕はどうなるの?もう目覚めることができないの?」
「さあ、それは理或次第だよ。いや夢しだいかな。うふふ…あはははは…」
必死でもがいてみる理或だが、布団は離れない。
それどころか、動くたび締め付けられるようだ。
とうとう、理或は泣き出してしまった。
声を上げて、泣いているのだ。その声が聞こえた。
自分の寝言で目覚める、その感覚だ。

>>理或は、目覚める!

どたっ!
ベッドから落ちた。
掛け布団のカバーのファスナーが外れて壊れてしまっていた。
その中に片手と片足を突っ込んで、掛け布団が体に巻きついて手先が痺れていた。
解くとじーんと血が通い始めたようなムズムズ感。
「あー。良かった。目が覚めたんだ」

作品名:夢見てばかりもいられない 作家名:甜茶