「セックスアンドザシックスティーズ」 第十七話
「美紗子さんはその付き合っていた彼とはどうなったの?」
典子が聞いてきた。
「結婚生活のことで考え方が違っていたから、会うことも少なくなって別れてしまったわ」
「そう、なにが違っていたの、覚えている?」
「典子さん、その人はね末っ子だったから両親の世話をしないって言ったのよ。私は次女だったけど両親の世話をしたかったからこの人と結婚したらダメかなあって、
感じたの。姉のことも話して将来世話をする事になったらそうさせて欲しいと言ったのよ」
「若いのにそんな事もう話したの?」
「だって、結婚するんだったら大切な事じゃない?」
「そうだけど、相手だって親がいるんだから、幾ら末っ子と言ったって上が放棄したら面倒見なくてはいけなくなるんですよ。そうなったら、両方の親の世話をあなたがすることになる。それは考えなかったの?」
「その時ははっきりと自分は親の世話をしなくていいと兄弟で話し合っている、って言ったのよ。兄が家督をついで家と土地を貰っているから、責任があるともね」
「じゃあ、あなたにとっては好都合の相手なんじゃなかったのかしら?」
「私のことも次女だからお互いに二人だけの世界が築けるって言ったし、姉の不幸を話したら結婚しないんだったら親と一緒に暮らした方がいいんじゃないのか、とも言ったしね。どうも親の世話をすることは嫌っているように感じられたのよ」
作品名:「セックスアンドザシックスティーズ」 第十七話 作家名:てっしゅう