裸電球
車は安アパートの駐車場に止まった。里恵のアパートだった。
鉄錆びた階段を里恵のおばちゃんキャリーとスーパーの袋を抱えて秀治は上った。
もうずいぶんあたりは暗くなっていた。
里恵は古い木製の板ドアを開けると、狭い玄関に靴を脱ぎキッチンの電球を点けた。
秀治は里恵の後に続き、同じように狭い玄関に靴を脱いで里江の部屋に上がりこんだ。
なんの飾りもない古いキッチン。テーブルの上に荷物を置いた。
裸電球が温かい灯りをかもし出していた。
「なあ、里恵、そろそろこの電球替えないか?」
「エッ、切れそう?」
「そうじゃなくて、裸電球なんて今時ないぞ」
「いいじゃない、点くんだから。嫌いなの?」
「いや、嫌いじゃないけど、なんか寂しくないか」
「うん、一人だったら寂しいよ・・・。秀ちゃんが来てくれたら寂しくないけど」
秀治は小さく笑った。これなんだよな・・・
秀治は裸電球を揺らしてみた。部屋中の灯りが揺れ里恵がそれを見て笑った。
「ねえ、秀ちゃん。食べていくでしょ?」
「ああ・・」
「泊まってく?」
「ああ・・・」
里恵の尻がかわいく揺れた。サラブレッドの尻よりいいなと秀治は思った。
(完)