二人の王女(1)
迷いという言葉がある。しかし、それに対する答えは大抵、最初から決まっているものだ。ただ、その答えを出すことが正しいと思いたいがために、様々な選択肢を出し、吟味してしまうのだ。マルグリットの心は決まっていた。
「わかった、アーク、共に来てくれ」
そう強く云うと、アークは大きく頷いた。
「あと、私の塔にいる占術師を一人、連れて行くとよろしいでしょう。旅の途中、何があるかわかりませぬ。騎士は闘う者、しかし戦いには防御が必要でございます。占術師は、必ず旅のお役に立ちましょう」
アジーがそう云うと、先刻から控えていたのか、アジーの背後から一人の占術師が現われた。歳の頃は、マルグリットたちとそう変わらないと見える、幼さの残る青年だった。
「シェハと申します」
シェハと名乗る青年が、深々と頭を下げた。
「シェハは歳は若いが、極めて優秀な占術師でございます。必ずや、貴女方のお役に立ちましょう」
そうアジーに云われ、マルグリットは手を差し出した。
「シェハ、よろしく頼む」
そう云って、その手を取った。
「もはや一刻の猶予も許さない、急いで王室の騎士の衣装に着替えてほしい。シェハ、おまえも同じだ。その衣装では馬には乗れない。すぐに、シェハの体型に近い者の衣装を用意させよう」
はい、と強い口調で頷いた。
アークとシェハ、この二人と共に私は必ずラズリーの華をこの王室に持ち帰ろう。
この国王の命、そして国の存亡は、我々三人の手に懸かっている。