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俺とそいつの7日間

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6日目。



「そうですか、自己主張を・・・ そいつは大変だ。」心配そうに言うお客さん。
しかし、俺に背中を向けたそのお客さんの肩が微妙に震えているのを俺は見逃さ
なかった。会議はなに事も無かったかの様に進められた。「そろそろ昼食にしま
しょう。今日は弊社の社員食堂で一緒に食事をしましょう。」と誘われた。

客さんと一緒に行った、社員食堂、メニューは、「韓定食」ひとつしかない。
ただし、A定食とB定食があり、A定食は漬物が普通のキムチ。B定食は漬物がカク
テキという四角く切った大根のキムチだ。違いはそれだけ、キムチはキムチなの
だ。辛いのは変わらない。それに、キムチチゲという辛いスープが付く。ありが
たい限りだ。

食事を終え、会議室に戻ると、

ぎゅるぎゅるぎゅる・・・・
ん? 腹いてぇ。今日は昼からかぁ!

あわててトイレに駆け込むと、パンツの中からそいつが雄たけびを上げた。

(言う事を聞かないのは、どこのどいつだぁい?・・・・お前だよ!!)

言うなりそいつは、ソプラノ歌手の様な高い音をその唇を震わせながら発した。
そいつの震える唇は、まるで、さながら風の谷のナウシカの巨神兵のようにドク
ンドクンと脈打っていた。

「こりゃ、たまらん!」あまりの自己主張の激しさに、俺はさっさと事態を収拾
しに掛かった。おれの右手が無意識にウォシュレットのボタンを探す。しかし、
会社のトイレにウォシュレットの様な高級な装置は装備されていなかったのだ。
しかも、トイレットペーパーは、茶色い再生紙。

くしゃくしゃにして、気持ちソフトに仕上げたその再生紙を、そいつの震える唇
にそっと押し当てた。

(ぎゃーーーうぉん! ぎやーーーーうぉん!)

俺が、紙を一往復させるたびにそいつはゴジラの様な雄たけびを上げ、そのちんけ
な再生紙を燃やしてしまおうと、口から火を吹き、恐ろしいまでにのたうちまわる
のだった。

作品名:俺とそいつの7日間 作家名:ohmysky