小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

CROSS 第18話 『Embassy』

INDEX|12ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 

第5章 緊迫、開戦、そして……



 山口は、アバーナシーなどとともに、シャトルに乗っていた。窓
の外は、異次元空間ではなく、宇宙空間だった。
 アバーナシーは、プラントとプラント理事国との間で行なわれる
会議のオブザーバーとして出席することになっていた。山口は暇そ
うだったので、護衛として駆り出されていた。



 長い期間というわけではないが、あの技術を入手をしてから今日
まで間、山口はゆったり過ごすことができた。やった仕事といえば、
また髪の毛型隠しカメラを装備してから(撮影機器の持ち込みが
禁止だったので。)、ザフトの基地を社会見学したぐらいである。
細かい調査は、外務省の連中(山口とアバーナシーと警備兵たちは、
陸軍省の所属。)が、やってくれていた。

 例の種は、税関の検査をスルーして無事に届いた。ただ、山口が
直接届けるというのは怪しまれるので、暇そうな内地勤務のCRO
SS隊員を一人こちらへ呼びつけた。そして、あの科学者に種を
渡すために、『ユニウスセブン』というコロニーへ、「観光資源の
調査」という名目を使い、その隊員を向かわせた。その隊員も今ご
ろ、山口と同じく、シャトルに乗っていることだろう。



「あら、クライン議長のシャトルが前にいるわ」
窓の外を見たアバーナシーが言った。彼女と山口が乗っているシャ
トルの前方に、
「今回の会議は成功しますかね?」
山口があまり期待していないという感じで言った。
「私が参加するんだから、うまくいくに決まっているでしょ」
ただのオブザーバーであるアバーナシーが、自信満々に言った。

   バサバサ!   バサバサ!

 そのとき、山口が胸につけている赤いコウモリのバッジが動きだ
した。幻想共和国の紅魔館からの着信だった……。
「ちょっと失礼します」
使っているところを見られたりしても大丈夫なのだが、山口は誰も
いないところへ移動した。そして、バッジに触れ、通信を開始した。

「はい、山口です」
『あんたが今いるシャトルの近くに、プラントのクラインのシャトルはある?』
通信相手であるレミリアは、いきなりそう言った……。
「……前にいるのが、たぶん、そうです」
いきなりの問いかけに、山口は「?」となったが、彼はそう答えた。
『じゃあ、ぶつけなさい』
「え?」
レミリアの突拍子のない要求に、山口は「え?」と言うしかなかっ
た……。
『いいから、今すぐぶつけなさい!!!』
レミリアはそう叫ぶと、通信を切った……。

 山口は、仕方がないという考えると、シャトルのコクピットへ向かった……。