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CROSS 第18話 『Embassy』

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第1章 尋問



   第18話 『Embassy』

【時間軸】 … 異次元暦42733年 12月15日
【場所】 … 異次元空間
       ザフト艦



「おい!!! いい加減に起きろ!!!」

   ビシィン!!!

 ビンタの音がその部屋に響いた……。
「なんだ、クソ!」
山口は悪態をつきながら起きた。そして、周りを見渡した。

 山口がいた部屋は小部屋で、窓が無かった。まるで取り調べ室の
ように殺風景な部屋だ。彼はイスに座っており、目の前にはテーブ
ルがあった。そして、そのテーブルの向こうには2人分のイスがあ
り、山口の他に2人の男がいた……。その2人の男は、『レイリス
の塔』におり、山口を気絶させた男たちだった……。2人ともザフ
ト軍将校のようで、その部屋にいたのは、山口とその2人だけだ。
1人がイスに座り、もう1人はテーブルの横で立っている。
「やっと起きられましたか」
そのうちの1人が言った。
「ここはどこだ?」
山口の問いかけに、立ったままもう1人がニヤリとして、
「ここはザフト軍の艦であります! 山口少佐殿!」
馬鹿にした口調と敬礼でそう答えた。どうやら、ビンタをしたのは
この男のようだ。山口ともう1人はスルーした。
「あなたは捕虜です。荷物はこちらで預りました」
事務的な口調で座っている男は言った。どうやら、厳しく接する人
物と優しく接する人物とで問い質すという古典的な取り調べのよう
だ。
「そのようだな」
山口は手錠を見ながらそう言うと、わざとらしく出入口のドアを見
た。そのとき、山口は、この艦内は無重力状態であるということに
気づいた。
「立ち上がった瞬間、撃ち殺すからな」
立ったままの男はそう脅した。山口は鼻で笑ってやった。
「……私の名前はアルファで、この男はベータです」
座っている男は丁寧な口調で自己紹介した。どう考えても偽名だが、
山口は突っ込まないことにした。
「いくつかお聞きしたいことがあるんです」
アルファという男はそう言うと、ノートとペンを用意した。
「あなたたちCROSSは、あの世界で何をしていたんですか?」
教師のような口調で、アルファは山口に尋ねる。
「ただの冬休みで、休暇を過ごしていただけさ」
山口は平然とそう答えたが、
「冬休みだって? CROSSの冬休みってのは、銃撃戦を繰り広
 げたりもするのかい?」
ベータという男がイヤミったらしく言った。さらにベータは、
「オレ達が聞きたいのはな、少佐。あのイカれた世界のクソみたい
 な塔で何をしていたかとかだ!」
そう語気を荒げて言った。よほど彼は、あの世界(ファ・ディール)
が気に入らなかっただろう……。
「とか? エレベーターの動かし方はもうわかっているんだろ?」
山口はニヤリと笑いながらそう言ってやった……。
「…………」
ベータは、『レイリスの塔』でのマヌケな一部始終を見られていた
ことに気づくと、黙った……。
「これがどういう物なのかも教えてほしいのです」
アルファはそう言うと、テーブルの上に、ある物をコトリと置いた……。