アトリエの恋
「一杯やってください」
笑顔の阿坂が缶ビールを出してさやかに渡し、やはり笑顔のさやかがそれを老人に渡した。
「奥様はお飲みになりますか?」
さやかがもう一本出して老婦人に渡そうとする。
「ありがとうございます。頂きます」
阿坂はコーラとオレンジジュースを出した。
さやかが受け取って、
「ぼくたちも飲んでくださいね」
子供たちも笑顔で受け取った。兄と妹らしい。
「きれいなお姉さんありがとう」
女の子が嬉しそうに云った。
老婦人からきゅうりの一本漬けをすすめられ、一本づつもらった。
「御馳走さまです」
「お似合いのカップルね。御夫婦かしら」
「はい。結婚したばかりなんです」
さやかがそう云って顔を赤らめた。阿坂はさやかの手を握った。さやかは握り返した。
「わっ!美味いこれ!」
阿坂が叫ぶように云った。
「本当ね。美味しい!」