heaps of corpses
五人組が通った。
あたりが真っ暗になる。もう少し経って通った奴がカモに相応しければ、一瞬で料理してやろう。
俺は神経をギリギリまで集中させ、夜の路をじっと見つめる。目も慣れてきた。元来、夜目は効く方なのだ。
一人のカモ。よし行こう。
と。ガシリ、誰かが俺の足首をつかんだ。細く小さい手。見るとさっきのガキだった。生きていたのか、と思った。振り払うのを躊躇う。
「お兄さんは、泥棒さんですか?」
泥棒、と聞いてバッと路地を見た。さっきのカモは——。
だが、路にはもう、獲物どころか人っ子一人さえいやしなかった。小さく舌打ち。ガキは首をかしげて怪訝そうな顔をしてから、懇願するように言った。
「ねぇ、私を盗んでくれません?」
「はぁ?」
驚いて思わず、普段隠している“尻尾”が出た。
「あっ」
ガキはそれを思いっきり掴んで、
「いってえええええええ!!」
これがあいつと俺の、最悪ともいえる出会いだった。
作品名:heaps of corpses 作家名:コゴトノヤ