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My Godness~俺の女神~ Ⅲ

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「それは良かった。いや、僕は君に止めて欲しくはないんだよ。でも、折角、授かった生命だ。もしかしたら、僕は君が生まない選択をするんじゃないかと思ってね。娘が連れてきた男は職にもついてなくて、アートグラフィックデザイナーの卵だとかなんとかいって、本当に頼りない男だった。こんなヤツに大切な娘をやれるものかと断固反対してやったら、娘のヤツ、しまいには結婚を許さないのなら、お腹の赤ん坊を中絶するなんて言い出して、これがまた大慌てさ。僕と家内にとっては初孫なんだ。しかも、娘は三十だからね。それで、仕方なく、だよ」
 ムシさんの言葉は心に滲みた。そのときのムシさんの今の顔は少なくとも渋面ではなかった。
「元気な子を産みなさい。人事部長としてはしてあげられることは何もないが、個人的なら話は別だ。困ったことがあれば、いつでも自宅の方に訪ねてくると良い」
 ムシさんは名刺に住所と解り易い地図まで書き添えてくれた。
「長い間、お世話になりました」
 実里は深々と頭を垂れ、部長室を後にした。