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人間と天使と悪魔と神

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 通学用鞄から生徒手帳を出すと机を挟んで座っている生徒会役員の男に差し出した。
「二年七組人間派のサリエルです」
ネクタイのない制服を着ている私は身元証明のように生徒手帳の一ページ目を出した。
「……あの、それで私はいつまでこうしていればいいんでしょうか?」
何かメモを取っている生徒会役員は私を少し見るもすぐに視線を戻した。
 内心溜め息を吐いてしまう。
「生徒会長が来るまでだ」
 視線を合わせずに答えた生徒会役員に今度は内心舌打ちをした。
「それで何であの場所にいたんだ」
あの場所。屋上から悪魔派の生徒が落ちてきた場所。
「寮に帰ろうと思ってあの場所を通ったんですよ」
「……本当か?」
やっと視線を合わせたかと思えば目を細めて疑っている視線を私に向けていた。
むろん私は気づかないフリをしながらも頷こうとしたが生徒会室の扉が開く音によってできなかった。
「――生徒会長!」
生徒会役員は叫ぶような声でいいながらも立ち上がると私の頭上を通って生徒会長を見た。
 私も振り返ると生徒会長を見た。
 確か名前はルカ。新約聖書の登場人物の名前をとって学校につけられたこの学校内での彼の名。
 ファンクラブがあるぐらい人気があるみたいだけど、私から見るとなんでファンクラブがあるかわからない。
「どこまで、聞いた?」
生徒会役員の声とは違って棘のない、しかしどこか男らしさのある声。
 普通の女だったら十人中四人ぐらいの心が揺らぎそうな声だ。
「まだ名前までです」
 ルカは扉を閉めると机の上に置いてある私の生徒手帳を持った。
「人間派のサリエルか。めずらしいな。人間派の生徒なんて」
絶滅危惧種だよな。この学校にとっては。まぁ、人間派の生徒を嫌っている他の生徒もいるけどもね。
 私を睨みつけている生徒会役員を横目で見たがすぐにルカへと戻した。
「そうですね。まぁ、なんの能力もないですからね」
今学期最初に測定したときはちゃんとゼロを示していたはず。
 茶化して言ってみるとルカは私でさえ見逃しそうになるような小さく表情が変化した。
 もうちょっと表情に出して笑えば十人中六人は逝くな。
「じゃあ、さっそく本題に移るぞ」
持っていた生徒手帳を閉じるとその生徒手帳を私に差し出した。
「――お前、堕ちた人間じゃあないだろうな?」