その時僕はこんなことを考えてた
嫌い。
いつもへらへら笑って
どこ見てるかわかんなくて
兄貴風吹かせて
意見なんて滅多に合うことないし
料理下手だってバカにするし
味覚壊れてるってそれかなり失礼だから
どうして。
いつもへらへら笑って
どこ見てるかわかんないくせに
自分に向ける笑顔が一番優しいなんて
どうして。
兄貴風吹かせて
意見なんて滅多に合わないのに
愚痴を言えば全部そうだねって相槌打ってくれて
どうして。
料理下手だってバカにして
味覚壊れてるっていう癖に
作ったものちゃんと全部食べてくれて
―――そんなこと、なんて
気づかない。
気づいてない。
全部、気づいてないから。
両耳を塞ぐこの手を、優しくとろうとしないで。
作品名:その時僕はこんなことを考えてた 作家名:ポウ