小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

文明開花〜櫻座物語〜

INDEX|7ページ/7ページ|

前のページ
 



刹那。風が止まった。


「…いや、え…あ。間違えました、すみません。」


会ったことなんて無いですよね。
誠一郎は起き上がり、埃を掃って女性の方に歩みよる。するとどくん、と心臓が鳴った。


「………いいえ。こちらこそ、勝手に入ってしまいすみません。」


女性は眉を器用に下げ、微笑んだ。綺麗だと思った。甘い、金木犀の匂いがわずかにする。
でも何処か、不思議な雰囲気が女性にあった。


「何かご用ですか?」


あいにく誠一郎はめんどくさがり屋だった。細かいことなど気にしてはいられないのだ。
女性はまた柔らかく微笑んで言った。


「えぇ、あなたと…その後ろの君に少し」


誠一郎はサッと振り向く。そこには凄く不機嫌そうな風雅がいた。
居るのは風雅以外考えられないけれど。


「誠一郎よ、その女は誰だ。隠れてつくった愛人か?」

「ちげーよ。てかお前は俺の女房か。」

「すまぬな。あいにく私は同性愛好者ではない。」

「律儀に返さなくていい。」

「そうか。で、その女は愛人ではないのなら誰だ?」

作品名:文明開花〜櫻座物語〜 作家名:夏華