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RED+DATE+BOOK005

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「…ああ、って言って欲しいんだろ?それなのに自分の周りに人がいなくなると手をのばして。」

「っああ!そうだよ!だって怖いもんは怖いし優しくされたら縋り付きたくなるだろ!だから俺はお前に利用するって言ったんだ!逆ギレしてるってわかってるけど…本当は…本当は俺は翔に許し
て欲しいよ!なかった事になんて出来ないけど、俺と出会ってくれた事とか俺に話しかけてくれた事とか…俺を好きだって言ってくれた事、後悔してほしくない!だって…俺…翔がいなかったら死
んでたからっ!」

「…は?」

「は?じゃねーよ!あーくそっ!どうだ!こんな女々しい俺なんてもう嫌いになっただろうが!そう思うなら利用される前にどっかにいっちまれえよこの植物博士!」

噛んだ。

噛んだがこの際どうでもいい。

植物博士なんて陸上部のユニフォーム着ている奴に言うことではないがもうどうでもいい。

純平はフーフー言ってる俺に溜息を一つ吐くとドンと俺をフェンスに押した。

そして両手で金網を掴む。

俺を捕らえるようにした純平の顔は近い。

真剣な目で、吐息がかかる程近くて俺は思わず息を飲んだ。

「ばーか。だからお前は馬鹿だって言うんだ。ばーか。」

きっちり三回、数えた俺は馬鹿なのか?

「利用しろよ。利用して、そのうち俺無しじゃいけないくらい利用すればいいだろ。」

ごくり、と思わず息を飲んだ。

あれ、純平さん、キャラ違いません?

俺の知ってる純平は砂糖菓子のように甘くて、優しい人だったのに、いまの貴方ときましたら…。

そんな据わった目で俺を見ないで!

「お前の好きなように利用すればいいだろ。」

だんだん近づく唇に俺は身動き一つ出来ない。

彼の瞳に俺が映って閉じ込められる瞬間、高い声がした。

「はい、ストップ。」

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ぴたり、ととまる空気。

声をした方をみれば桜先輩が腕を組みながら不機嫌な顔をしている。

「言わなかったっけ?亮は俺のだって。」

じと、と睨みつける視線は鋭い。

「・・・・・・アンタいつ帰るんだ?」

純平は金網から手を離すと髪をかき上げた。

俺はドキドキ五月蝿い心臓に手を当てて大きく息を吐く。

ああ、怖かった。

いや、怖い、というか・・・。

頭に血が送られるのがわかる。

興奮、している。

「残念でしたー、まだいるから。俺がいる間は亮ちゃんに何か出来ると思わない方がいいよ。」

ぐい、と腕を引っ張られて桜先輩に引き寄せられる。

「っ桜先輩・・・俺汗めちゃくちゃかいてるから!」

ポタリとこめかみを流れる汗は土に弾ける。

「うん。だから亮ちゃん早く着替えてね。」

にっこり、そう言う彼の視線を追えばぐっしょりと濡れたシャツ。

「お風呂入らないとね。」

俺も一緒に入ろうかなー。そうだ!楓の部屋の借りればいいんじゃない?

話を進める桜花は既に純平の存在すら見えてないようだ。

「おい。」

純平はそんな桜花を見ながら亮に声をかける。

「お前が大月さんに会わなきゃ死んでたってどういうことだ?」

「へ?あ・・・あー。えーっと・・・。」

眼を泳がす亮に桜花は無言で腕を引く。

「ほら、亮ちゃん早くしないと風邪引いちゃうから。」

「うん。じゅ、じゅんぺ・・・あの・・・。」

何かいわなければならないとは思うのだが言葉は出てこない。

「あの・・・明後日松橋との撮影会だから!」

「は?」

「じゅんぺーも来るって言ってたから!!伝えたからな!」

「お・・・おう。」

遠ざかる二人を見ながら純平は眉を寄せた。

「・・・馬鹿は俺だ。」










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作品名:RED+DATE+BOOK005 作家名:笹色紅