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RED+DATE+BOOK04

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「あー。マジもう無理〜。」

俺は机に頭を突っ伏しながら呻いた。

「亮、もう少しだから頑張ろう!」

隣で応援してくれるのは楓。

「分からないところあるの?」

そして向えにいる春が俺のノートを覗き込んだ。

あれから数日。

衣替えを間近に控える今日この頃。

酷い嫌がらせもなくなり平穏と呼べる日々を送っている。

否、平穏と呼べる日々を送っていた、だ。

只今テスト三日目の放課後。

学生の大部分が頭を悩ませる期間に突入。

類に違えず亮も灰になりつつあった。

「ボール触りたい・・・。走りたい・・・。」

ブツブツ文句を言いながら春に教えてもらった問題を解いていく。

ここ、篠宮学園はスポーツでも名高い高校であるが勉学にも抜かりは無い。

もちろん日本の未来を担っていく者がいるのだから当たり前と言ってはそうなのだが。

そしてテスト期間中は部活動が前面停止なのだ。

部活が出来ないのは亮にとって死活問題である。

かろうじて自主練習のランニングはしているが赤点を取るともっと部活が出来なくなってしまうのでそうそうは時間を取れない。

「はふ・・・。」

一つ溜め息を落とし気を取り直してペンを走らせた。

その姿に楓は苦笑しながら声をかけた。

「明日には部活できるから。それに林間学校だってあるし。」

その言葉に亮のペンが止まる。

「はっ?」

「ん?わからないのあった?」

「いや・・・違くて・・・。林間学校?」

眼を丸くしながら楓の顔を覗きこむ亮。

「うん。テスト終わったら・・・来週から二泊三日で。」

え?

え・・・・・・?

林間学校ってあの・・・キャンプみたいなやつだよね?

みんなでカレー作るあれ?

「知らなかった・・・。」

「え?そうだったの?二年生も行くんだよ。」

「は・・・?じゃあ会長とかも行くのか?」

「うん。学年の枠を外して交流を深めるとかなんとかで・・・。班とかに分かれるんだ。」

「へー。」

俺、絶対かいちょーと一緒には為りたくないけど。

「赤点取ったら学校で補習だけど。」

「げっ!?マジ!?」

「うん。前例あるらしいからちゃんとやんなきゃね。」

その言葉に俺は机にかじりつく様にして勉強を進めた。





「お・・・終わった・・・。」

シャープペンを置いて机に頬をつける。

「お疲れ、亮。」

「もう無理マジ無理死んでしまう。」

「いや・・・死なねぇだろ。」

プリントを俺の頭にのせてその上からじゅんぺーの声が降りてくる。

「あ〜?何コレ?」

「林間学校の資料。お前、会長と一緒だぜ。」

「げっ!?マジ?」

いで資料を開けば・・・

2年1組:藤堂葵







1年2組:齋藤亮

マジかよ〜。

後は・・・

「いねぇし!!!!俺の知ってる奴誰もいねーけど!!!」

「マジ?」

「・・・マジ。」

あとは他の組の奴だし・・・。

バレー部の1年もいねーし・・・。

「あれ?でも僕と春と木野下君は同じ班だね。」

「はっ!!?」

眼を下に巡らせば並んでいます三人の名前が!!

「ありえねえし!!何で俺だけ!?」

「会長の策略じゃねーの?」

「策略?なんで?」

「そりゃ・・・。」

じゅんぺーは俺から視線を外して明後日の方向を見る。

「亮、部活に行こう。」

「うん!!」

スポーツバッグを持ち上げて肩にかける。

「おい!草!会長には気をつけろよ!」

「おー。」

俺はこのとき久しぶりのバレーでじゅんぺーの言葉に適当に答えた。

もちろん後でもっとよく用心しておけばなんて後悔するするのは分かんなかったけど。





「あはは!じゃあ亮君は葵と一緒なんだね。」

「笑い事じゃないッスよー!ぶちょーは誰と一緒なんですか?」

所変わって只今バレー部整理体操中。

久々の体育館の練習はそりゃ、もう楽しくて楽しくて、目いっぱい運動しましたとも。

身体も腕も上がんなくなるくらいまでやって終わり。

今日は爆睡決定だな。

「聡は俺と一緒やねんな!」

「っ・・・ミヤ先輩・・・止めてください。」

頭は手でつかまれてる感触。

「お前頭ちっちゃいな〜。」

「だから放せっつーの!!・・・一緒?ミヤ先輩とぶちょーが?」

「うん。ついでに1年生は春君達だよ。」

へ?そうなの?と言う眼で春を見上げれば彼はコクンと頷いた。

・・・・・・。

え?それってどうなの?なんか変じゃない?
::::::::::::::


「・・・班って好きな風に決めていいんスか?」

「当たり前やん。」

「はっ?」

「僕等のクラスは自由だったからね。春君達は違ったのかな?」

「・・・アンケートは取ってた・・・。」

「えっっ!!?何ソレ!?俺聞いてない!!」

「亮・・・あの時寝てたから・・・。」

「寝てた・・・?」

「うん。テスト始まる一日前に。一応、楓が一緒の班にしておいてっては言ってたけど。」

「葵の圧力もかかっとったちゃう?」

圧力?アンケ?寝てた?

ダメじゃん俺!!

「まー。でも葵も悪い奴じゃないんだよ。」

慰めるようにぶちょーが俺の頭を撫でながら諭す様に言う。

「・・・ぶちょーってかいちょーと仲いいんスか?」

「俺と聡と葵は1年の時同じクラスだ。勿論悪友やねんな!」

へー。新事実。

ぶちょーは僕は違うなんて笑いながら反対してるけどどこか嬉しそうだ。

「じゃあ2年になったらクラス替えするんすね?」

「普通はしないけどね。」

「は?」

「京様・・・お前は知らんやろーけどそいつがな。」

「ミヤ、そいつなんて言うな。」

「へーい。」

宮先輩はなんとも気の抜けた返事をして頭の後ろで手を組む。

「まぁ、葵だけ違うクラスにいっちゃったって感じかな。だから亮君達は心配ないと思うよ。」

「そう・・・なんすか。」

かいちょーだけ違うクラス?

そんな事出来るのか?

イジメ・・・は絶対ねぇしな。

それに“きょう”って篠宮京だろ?

俺と同い年な筈なのにミヤ先輩まで様づけとかって・・・。

「亮、眉間に皺よってるよ。」

額に乗せられた少し冷たい手に考え事の世界から現実にもどされた。

「うあー。春の手って気持ちい。」

「亮は暖かいね。」

「子供体温ちゃう?」

「うるせーっすけど。」

一触即発になりそうな宮先輩の態度をぶちょーは宥めて、もう体育館しめるよ。と言って鍵を持つ。





「じゃあ、お先失礼しマース。」

隣にいる春もペコリと部室にいる先輩達に頭を下げる。

春はいつも俺を車まで送ってくれる。

「林間学校か〜・・・春はどういう所か知ってるの?」

「うん。去年のはパンフで見たけど・・・アレは毎年行く所変わるから。」

「今年は?」

「ソレは行くまでのお楽しみみたい。」


「へー。」

林間学校ったら俺には大自然(森)しか思い浮かばないですけど。

カブト虫とかコオロギとか。

あとカレー。

「青木君こんばんは。」

桐生さんが車を降りてドアをあけてくれる。
作品名:RED+DATE+BOOK04 作家名:笹色紅