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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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追伸

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<追伸>

「ごめんよ乃子。キライになった訳じゃないんだよ。他に好きなコが出来てさぁ……」
 志摩耕介は照れ笑いを堪えきれない、といった表情をしていた。
 とある高校の昼休み、撫子はとうに枯れ、秋桜も終わりに近づく頃、二人のいる校舎の屋上には強く冷たい風が吹いていた。

「いいの。私、全然かわいくないし、話してもつまらないし……」
 三浦乃子は今にも泣き出しそうな顔をしていた。
 だが、腰の辺りまである長い髪が風に吹かれてそれを隠していた。

「じゃ、オレ行くわ」
 耕介は、黙ってしまった乃子に豪を煮やして背中を向けて去ろうとした。
「待って。少しだけ……」
 乃子は慌ててポケットから何かを取り出し、耕介の背中にあてた。

「なんだよ!」
 乱暴に振りほどこうとすると、スッとその手は引っ込んでするすると巻かれた白いメジャーは乃子の制服のポケットに消えた。

作品名:追伸 作家名:郷田三郎(G3)