追伸
<追伸>
「ごめんよ乃子。キライになった訳じゃないんだよ。他に好きなコが出来てさぁ……」
志摩耕介は照れ笑いを堪えきれない、といった表情をしていた。
とある高校の昼休み、撫子はとうに枯れ、秋桜も終わりに近づく頃、二人のいる校舎の屋上には強く冷たい風が吹いていた。
「いいの。私、全然かわいくないし、話してもつまらないし……」
三浦乃子は今にも泣き出しそうな顔をしていた。
だが、腰の辺りまである長い髪が風に吹かれてそれを隠していた。
「じゃ、オレ行くわ」
耕介は、黙ってしまった乃子に豪を煮やして背中を向けて去ろうとした。
「待って。少しだけ……」
乃子は慌ててポケットから何かを取り出し、耕介の背中にあてた。
「なんだよ!」
乱暴に振りほどこうとすると、スッとその手は引っ込んでするすると巻かれた白いメジャーは乃子の制服のポケットに消えた。
「ごめんよ乃子。キライになった訳じゃないんだよ。他に好きなコが出来てさぁ……」
志摩耕介は照れ笑いを堪えきれない、といった表情をしていた。
とある高校の昼休み、撫子はとうに枯れ、秋桜も終わりに近づく頃、二人のいる校舎の屋上には強く冷たい風が吹いていた。
「いいの。私、全然かわいくないし、話してもつまらないし……」
三浦乃子は今にも泣き出しそうな顔をしていた。
だが、腰の辺りまである長い髪が風に吹かれてそれを隠していた。
「じゃ、オレ行くわ」
耕介は、黙ってしまった乃子に豪を煮やして背中を向けて去ろうとした。
「待って。少しだけ……」
乃子は慌ててポケットから何かを取り出し、耕介の背中にあてた。
「なんだよ!」
乱暴に振りほどこうとすると、スッとその手は引っ込んでするすると巻かれた白いメジャーは乃子の制服のポケットに消えた。