我的愛人 ~顕㺭和婉容~
終章
最初は任務のはずだった。
けれど今感じるこの抉るような生々しい胸の痛みは一体何だというのか?
事は着実に進んでいる。もう後戻りは出来ない。
顕㺭は再び車を走らせる。
私の前では、日本人の川島芳子でもなく漢人を装う金璧輝でもない、偽りのない本当の貴方……愛新覚羅顕㺭でいてね。
縋るように婉容のあの微笑みを脳裏に思い浮かべながら。
自分に放った彼女の言葉を噛み締める。
そして1932年1月、上海事変勃発。
1932年3月1日、満洲国建国。
了
次シリーズ 我的愛人 ~我的愛人~ に続きます。
お読みくださりありがとうございました。
作品名:我的愛人 ~顕㺭和婉容~ 作家名:凛.