ありんこ探偵団
陽射しが木の葉の隙間から揺れる。
未解決の事件はない。穏やかな日だ。
蟻ーダは、好物のゼリービーンズを眺めながら、小枝のデッキチェアーでくつろいでいた。
「おーい。ねえねえ、蟻ーダ!大変なんだ」
デッキチェアーの背凭れから身を起こすと、いつもおっとりしている蟻3が慌てて
走って来るのが見えた。
「どうした?あ、そこは…」
蟻ーダが、声を上げたが、既に遅かった。
ドテン。ゴロンと蟻3が躓き転がった。
蟻ーダは前足で触覚の辺りを押さえ、片目を瞑った。
「あちゃー。みみずおじさんがさっき通って土が盛り上がっちゃったんだよ」
「あー、びっくりした。あ、それより大変なんです」
自分の転んだことなど、なんのその。膝っこぞうに土をつけたまま、話し始めた。
「ジィちゃん、ヒージィちゃん、蟻衛門ジィちゃん…」
「まあまあ、落ち着け。探偵団は、慌てていては事件は解決しないぞ」
蟻ーダは、蟻3に汲みたての朝露を飲ませて話を聞いた。