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扉を開けたメール

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 歩きながら花山は色々と思い出した。敬子は華奈の親は絶対に現れないと断言したことがあった。考えてみれば、それは、事故で亡くなっていたからなのだった。敬子が華奈を閉じ込めたときの年齢を告白したとき、三歳か四歳と、曖昧だったことも思い出す。実の子ではなかったから、正確には判らなかったのだろう。また、閉じ込められていた華奈の食事が、コンビニの弁当だったということも思い出した。やはり、実の子ではなかったから、それで済ませていたのだと、花山は思った。
「お母さん、じゃなくて敬子さん。温泉へ連れて行ってくれて、わたしに凄く優しくしてくれたから、もう一度お礼を云いたかったのに……」
「そうか。華奈ちゃんは人を恨んだりはしないんだね」
 花山は感動しながらも、華奈を憐れんでいた。
「花山さんは、誰かを恨んでる?」華奈は、あどけない顔で尋いた。
「……そうだね。人を恨んでいいことはないね。これからは、そういうことはやめるよ」
 師走の風が吹く駅までの道を、ふたりは手を繋いで歩いて行った。
          
                       了















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