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一期一会

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「話を戻すようだけど、この五十日間。わたしはひたすら泣くまいとしてきた。それは、不自然だったのね。学さんのおかげで五十日分、思い切り泣いたわ。そうしたら、少しすっきりしたの……五十日分どころじゃない。十年分か二十年分?堪えに堪えてきたものを、
放出できたのかも知れない」
「涙は健康維持に役立つそうですよ。それどころか、健康増進と云うべきかも知れません。
笑いたいときは笑い、泣きたいときは泣く。傍目には無様かも知れない。でもね、それでもいいじゃないですか」
「飲んで……でも不思議。全然知らなかった人と、学さんと、同性同名の人が住んでいたところにいて……」
早川もその点では同じ気持ちだった。そのあとは二人共黙ったまま飲んでいた。早川は昨夜のことを思い出した。あのファミレスに入ったとき、彼は今後の自らの人生について考えようとしていた。友人は個人タクシーを目指している。早川は何も目標がない。もうすぐ四十になる。最低の収入しか得られないタクシーの乗務員。結婚の相手もいない。
この先辛いことがあったとしても、たかが知れている。この先愉しいことがあったとしても、些細なものだろう。ただこのまま老いて行くだけで、終わってしまう人生。それでも生きて行くほかはない。

















作品名:一期一会 作家名:マナーモード