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一期一会

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峠越え



 カーナビには千曲市の屋代駅を、しのぶにインプットしてもらった。タッチパネル式ではないので、早川は触る気もしなかった。
安曇野広域農道、日本アルプスサラダ街道などを、早川は迷ったふりをして未練がましく走りまわった。ひと眼でも、常念岳のたおやかな姿を拝みたかった。梓川高校の前を通過し、梓川体育館、エルサ安曇野ショッピングセンターの近くを通った。都会化の波がここにも押し寄せている。一抹の不安を煽った。
山脈に沿って執拗な雲がわだかまり、残念なことに常念岳の雄姿を見ることはできなかった。いつの間にか野麦街道、国道158号線に入っていた。松本電鉄上高地線と並行し、安曇野市から松本市内の松本インターへ向かう。
「あっ、コンビニに寄って!」
「トイレかな?」
「携帯の充電が切れたから、充電器を買うの」
コンビニの駐車場に面して、野菜を売る売店もあった。
「さえら、トイレに入ったほうがいいよ」
 車の外は東京と同じ暑さだった。早川はコンビニには入らずに、電車がくるのを待った。
間もなく現れた松本電鉄のカラフルな電車を、写真撮影した。そのあとは車の中でしのぶとさえらを待っていた。しのぶの笑顔を見て、早川は安堵した。
作品名:一期一会 作家名:マナーモード