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なんでも治す薬 三、

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 ある晩、二階の部屋で、お父ちゃんとお母ちゃんは話していました。
「あいつ、この頃おかしないか? 前までは、こないなことなかったのに」
「あの薬を持ってからやわ。どないな病気でも治せる言うて、なんぼ注意しても聞きやせん」
「薬を取り上げる、っちゅう手も、あらぁな」
「うん。あたしもそれ、何べんもしょうとしたんやけど、あの子、ちゃっかり隠しとんか知らん、どこ探しても見つからへんねん。出しなさい言うても、あれへんで、って平気な顔してるし。
 実際、ポケットん中見ても、ほんまにないねん」
「そうか……」
 お父ちゃんはため息をつきました。
「あいつ、病気もけがも怖ないて思てるみたいやけど、とんでもない病気にかかってもうたなぁ」
「せやなぁ」
 お母ちゃんもため息をつき、それから、ぽつりと言いました。
「もう、かなの病気は、治らへんねやろか……」
 その時でした。
 ピリリリリ、ピリリリリ。
 突然電話が鳴り、お母ちゃんは受話器を取りました。
「はい、はい……えっ? あぁ、はい。分かりました……」

 ガチャッ。
作品名:なんでも治す薬 三、 作家名:LUNA