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ハロワのイロハ

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「人多すぎだって……」

現状を目の当たりにした。

大学を卒業してから6年。

中途半端な就活は、当然、中途半端な結果となった。
すっかりバイト生活が染みつき、気がつけば30歳を過ぎていた。
ちなみに2年浪人した挙げ句に2度留年。
無駄に6年も大学に通うはめになったわけで。

ちなみに正社員になったことは一度もない。

で、ようやく重い腰を上げて向かった人生初のハローワーク。
職を探し求めるオッサンでごった返すという、てんで無機質、かつ異質な空間、というのが最初の印象だった。
ちょっとしたカルチャーショック。

「切ねぇぞ……」

まあ、その人数にとにかく圧倒されたわけで。

* * *

「あら。あんちゃんも仲間だ」

「……おじさん、だれ?」

「訊くのは野暮ってものでね。ま、がんばって。じゃあね~」

「……」


仲間。仲間。ナカマ……。
こりゃまさに切実な不文律ってか。

しかし、良くも悪くも俺は違う。
なんせ現実から逃げていたから。


そういえば凛ちゃんが言っていた。
「ハロワに通う人たちって、やっぱり、必死だよね」って。

やむなく無職という枠に振り分けられてしまった、いわば人生的に見て運が悪かった人たちもいるだろう。

再スタート。
明るい将来、未だ見えず。
同情するなら仕事くれってか。

これまでの自分の人生を振り返ってみた。


「おえ……」

(しかしさっきのオッサン、ちょっとだけウザイ)


凛ちゃんっていうのは俺のモトカノ。

付き合っていた頃、凛ちゃんはしばらくハロワに通っていた。
たしか派遣の契約が切れた頃だった。
そんな話を聞いていたから正直、現実から目を逸らしていた。

先々月、凛ちゃんに愛想つかれてフラれた。

たぶん、愛想つかれた。

作品名:ハロワのイロハ 作家名:OBTKN