気紛れな相談屋のようです 第一話「憎悪的ラブレス」
「満足かい?」
「当然でしょ。そのために悪霊になったんだから」
「そっか」
「ねえ、質問していい?私天国いけるの?人殺したのに…」
「等価交換」
「え?」
「ただの殺人者は天国には行けない。ただ、君の場合はあくまで『対価としての殺人』だ」
「ご都合主義な世の中ね」
「そんなもんさ。この世はみんなが思うほど清くない。ひどく事務的に、セカイはまわっているのさ」
「そっか…。じゃ、私そろそろ行くね」
「ん、約束は守ってよ。対価なんだから」
そう言って星田は微笑んだ。どこか悲しみを帯びた目だった。
「うん、頑張る」
ニコッと微笑んで、重石愛は旅立った。
「やれやれ・・・まったく、難儀なセカイだねえ」
アパートを出て自販機で買ったコーヒーを飲む。ポケットで何か震えてる。スマートフォンを取り出し、通話ボタンを押す。
「ふう」
一息吐いて、電話に出る。
「はい、もしもし。お客さんですか?」
怪異にお困りの方はお寺等にいきましょう。それでも駄目な時は僕、相談屋のところへ来てください。
ただし・・・僕は気紛れなので、必ずしも、あなたの味方になるとは限りませんので、あしからず。
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作品名:気紛れな相談屋のようです 第一話「憎悪的ラブレス」 作家名:ティオ