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鬼城 地球
鬼城 地球
novelistID. 15205
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アメンボ!! ~South vs. East~

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 二か月後……

 兵南の一部を驚かせた事件は、阪東の全体には行き届かず当たり前だが兵南の中で広がることなく消え去っていったのだった。

「ねぇ、知ってる? 教頭って阪東に行くんだって?」
「知ってるー、阪東出身だったんでしょ?」
「よくここでやってこれたよねー」

 時は春の温まりが増してきた三月。
アメンボ・芦屋と西宮は校長室に呼びだされていた。

「君達のおかげで今期も無事に終わる……ありがとう」
「いえ……ただ、あんな結果になってしまって、とても残念です……まさか、教頭が」
「仕方がないことだよ、我々兵南と阪東が続けてきた争いの結果であったのだから」
「……和解、したんですよね」
「ああ、そうだよ……これから兵南と阪東は生徒の取りあいもしない……この学校に来る学校の生徒を将来へ羽ばたける生徒に育てていく……それが兵南と阪東の目標になるだろう」
「本当に終わったんですね……南と東の戦いが」
「だが、これだけは治らないかもしれない」
「「「これだけは治らない?」」」

 アメンボ達はそろって首を傾げた。

「この学校を好きでいること……つまり、愛校心の塊をだよ……君達がこの学校に尽くしていて、依存しているその現状を今更治すことなどできはしない」

 アメンボ達は互いの顔を見合わせ、苦笑を洩らした。
つまり、学校は自分の母校でなければ愛することはできないのだということだ。

「君達も次は三年生だ……水泳部の引退後は兵協部を支えて行くのは難しいだろう……だが、今いる後輩にこの学校を守っていく使命というものを感じさせてやってくれ……それが君達の最後の仕事だ」
「「「はい! 失礼しました!」」」

 そう言って、アメンボ達は校長室を去ろうとしたがアメンボが掛け軸の前で立ち止まった。

「アメンボ?」
「多分、校長室に入るのも最後かと思って」
「ああ、掛け軸か」
「? 文字が……」
「やっぱり、兵南は南だな」

 そう笑ったアメンボが優しく見ていた掛け軸には勇ましく


『南風美麗』の文字が書いてあった。