水世界
渇望
俺はどこだろう
俺の体はどこにいるんだろう
俺の涙はどこに消えてしまうのだろう
俺はひとり
ひとりこの手を握りしめて
その感触の不確かさに
恐れ
怯え
憎しみを抱いた
悲しみとはどういう感情だったのだろう
人の心はどこまでも
どこまでも
海のようだ
悲しみに溺れてしまった
歓びに埋もれてしまった
ただ、ひたすらに
笑いつづけた
泣き続けた
叫び続けた
青い色を 色を 飲み込みたくて
飲みこまれてゆく
青い
青い
青
俺の輪郭はぼやけている
俺の命は音もなくにじんだ
すべて壊れてゆく
ただ、静かに
真っ暗な青空が透き通って残酷にこの世界を見下ろしていた
伸ばした手は何もつかまない
それでも
消えてしまうまで
手を伸ばし続けた
何が欲しいのか分からない
誰に会いたいのか分からない
なぜ悲しいのか分からない
それでも、心が溢れてとまらない
涙があふれて そして 消えてしまう
俺はいなくなるだろう
俺は消えてしまうだろう
俺は青にはなれないだろう
ああ、何も見えない ああ、熱も分からない ああ、苦しみさえもあやふやだ
存在さえいない
ああああああああ
ただ、
ただ、
俺は
渇望