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冬野すいみ
冬野すいみ
novelistID. 21783
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水世界

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野良猫






野良猫が苦しんだ 誰も気にとめない

野良猫が死んだ 可哀想だと心を痛めて それだけ 誰も気にとめない

どうしようもない

野良猫はひとり

野良猫は生きた

野良猫は死んだ

暑い太陽の下で苦しんで死んだ

太陽の灼熱に焼かれて死んだ

涙も流れなかった

水が 水が 水が ないと 誰も生きられないんだ

人も猫も 私も あなたも

どうして生きられないんだ

どうして生まれたんだ

どうして生きてしまったんだ


その瞳は太陽を見つめることはできなかった
眩しくて 憎かった
瞳が痛かった

野良猫を守るものはいない


ただ そこに 横たわる
太陽の光の下で死骸となった

光は白くて
どうしようもないほど白かった

世界は静寂

生き物は孤独


それでも、
それでも、
生きた

生きた

生きた



死んだ












作品名:水世界 作家名:冬野すいみ