水世界
水
私が透き通り 水になって ぽたり ぽたり
雫 一面に水鏡が広がった
消えてゆく体
けれど、人はきっと水だ 海だ
水に還ってゆく
けれど私は何も持たないから ただの空虚な水だ
水になった私を見つめる 私
水に手を差し伸べ 触れて 水は撥ねた
生あたたかい手
生きた手
悲しい手
憎しみ
愛しさ
喜び
叫び
水となって弾けた 一瞬だけ光った
水に口づけて そのまま飲み込んでしまう
あつい にがい かなしい まぶしい
焼けるようで
凍りつくようだ
けれど、どうしたって愛おしい
涙がこぼれて やっぱり水になった
思いは心は水
少しずつ溶けて 飲みこまれ 水を愛する