約束~リラの花の咲く頃に終章ⅡLove is forever
「あの子が世子(セジヤ)でいずれ王位に就けば、間違いなく聖君と呼ばれる王になるだろう。わずか五歳であれだけのことを考えるというのは、並の子どもではない。あの子のことを考えれば、私の取った道は良かったのかどうかは判らぬな」
「旦那(ダ)さま(リー)、聖泰の名前は、あなたさまから頂いたものなのです」
莉彩の言葉に、徳宗は眼を見開く。
「私からあの子の名前を? それは面白い。初めて聞く話だな」
興味を誘われたように身を乗り出してくるる。莉彩は微笑んだ。
「聖泰の〝聖〟は〝聖君〟から、泰は〝泰平〟から取りました。万世に光り輝く聖君を父上に持ち、また、そのお父上の治世が未来永劫、平かであることを願いました」
「なるほど、そのような意味があったのだな」
徳宗は感じ入ったように頷く。その表情が心なしか、淋しげに見えたのは莉彩の気のせいだったろうか。
作品名:約束~リラの花の咲く頃に終章ⅡLove is forever 作家名:東 めぐみ