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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十三回・弐】雨が止んだなら

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ざぁざぁと雨が屋根を打つ
昼間の晴天はどこに行ったんだというくらいのざんざん降りの雨
閉められた縁側の引き戸の内側には鳴らない風鈴がぶらさがっている
いつもならうるさいくらいの栄野家は静まり返っていた
「…すいません…京助に力がないならば…ソーマは効きません…」
乾闥婆が力なく言う
「京助本人が力を吸ってくれるなら…竜みたいに僕らの力吸えばいいんだけどね…それすら…」
窓の枠に腰掛けた矜羯羅がぎゅっと自分の腕を掴んで唇を噛んだ
「本当ぎりぎりで生きてるんだ…京助ぎりぎり…で」
南が呟いて膝に額をつけ黙りこむ
「ごめんくださーい、おばんですー」
ガラガラと玄関の引き戸が開けられる音と静かな家中に響いた声
「し…ばた…?」
坂田が立ち上がり戸を開けて玄関に顔を向けた
「柴田…」
「…あがってもいいですか?」
ごしっと目をこすった坂田がうなずく
「ほらほら若泣いても始まりませんよ?」
「泣いてねぇっ!!;」
坂田の背中をぽんぽん叩きながら柴田が茶の間の前にくると軽く頭を下げた
「清浄…」
「…上が動きましたか…」
もう一つの名前を呼ばれた柴田が静かに言う
「竜が封じた【制多迦】を解くつもりなんだろう…京助の中の竜の力を殆ど抜き取っていったそうだ」
迦楼羅が腕を組みなおした
「…そうですか…で…京助君は…?」