なにサマ?オレ様☆ 司佐さまッ!
沢木は、コトハの申し出に焦っているようだ。
だが、コトハは顔色を変えず、真っ直ぐに沢木を見つめる。
「はい。私、メイドの勉強がしたいんです。そしてもし……もしまた司佐様が雇ってくださるなら、もう二度と離れません」
コトハはもう一度山田家に戻り、メイドとして暮らす決意を固めたのである。
「しかし、君は僕の娘なんだよ。そりゃあ今更この世界に馴染むのは、君にとっては苦痛なことかもしれない。だが、君がそんな下働きとして生きなければならないのなら反対するね」
「でも、私の母はそうしてきました。お婆ちゃんも……そして、二人は私をメイドとして育てることも望んでいました。きっとお父様がもっと早くに私を引き取ろうとしてくださっても、同じようにメイドとして育てることを望んだと思うのです」
いつになく、コトハは自信に満ちている。
「それが……コトハが望むことなのか?」
「はい。私の長年の夢であり、使命であり、幸せです」
それを聞いて、沢木は苦笑した。
「まるで君のお母さんと話しているようだよ。君のお母さんは、そういうふうにいつも凛としていた……そこまで言われたんだ。娘の望みや幸せを叶えてあげたいというのが親心だよ。君とほとんど一緒にいられなかった分、孝行させてくれ」
「じゃあ……」
「ああ。山田家には話しておこう。コトハの気が済むようにすればいい。でも、週に一度は僕に顔を見せてくれ」
「わかりました。ありがとうございます、お父様!」
コトハの笑顔が本物だったので、沢木も優しく微笑んだ。
その時、使用人がやって来た。
「コトハ様。山田司佐様がお見えです」
それを聞いて、コトハは沢木を見つめる。沢木は優しく笑って頷くと、コトハは慌てて部屋を出て行った。
作品名:なにサマ?オレ様☆ 司佐さまッ! 作家名:あいる.華音