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なにサマ?オレ様☆ 司佐さまッ!

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「なんだよ。自分から距離を置きたいって言ったくせに……それに、本当にここにいる理由なんかなくなった。ここでメイドとして生きるより、肉親と暮らしたほうがいいに決まってる」
 司佐は肩を落として、自分の部屋へと戻っていった。

 客間では、早朝まで酒を飲み交わしていた司佐の父親と沢木が、未だ起きている。
 コトハはそっと客間を訪ねると、深々と頭を下げた。
「私は、今も山田様にお仕えする夢を諦めていません。ですが、私もお父さんという人のことが知りたいです。どうか、よろしくお願いします……!」
 沢木はコトハを抱きしめると、静かに立ち上がる。
「司佐君たちへの挨拶は、今度でいいか?」
「はい……きっと会ったら、何も言えなくなってしまいます」
「そうか。じゃあ、今日のところは退散させてもらおう。また今度ゆっくり話そう、山田。大事なコトハを今日まで預かってくれて、本当にありがとう」
 沢木は父親の表情をして司佐の父親にそう言うと、コトハを連れて山田邸を後にした。

 コトハが去ったことを司佐が知ったのは、その日の昼頃のことだ。遅く起きた司佐だが、昭人の報告に驚きもしない。
「そうか……」
「いいのか? 司佐」
「いいも悪いも、コトハが決めることだ。俺がコトハでも、そうするよ」
 司佐の言葉に、昭人は顔を顰める。
「司佐……このままちゃんと話し合わずに離れたら、本当に別れることになるぞ?」
「もういいんだ。もう疲れた。コトハとは……」
「なに言ってるんだよ」
「あいつにはあいつなりの考えもプライドもあるし、ちゃんと自分っていうものを持ってる。だから距離を置きたいって言ったんだろ。このまま自然消滅……というより、俺たちはまだ始まってもいなかったのかもしれない」
「司佐……」
「桃子を好きになるほうが、何百倍も楽なことだよ」
 すっかりコトハのことを諦めようとしている司佐に、昭人はもう何も言えなくなっていた。