出張
<出張>
週の始めからいきなり出張だった。
出張先は遠く、朝六時前の列車に乗らなければならない。
怪しい空模様だ。夜中には降っていたのだろう、玄関を出ると道路はまばらに濡れていた。
早朝の青臭い空気。
私は自転車を駆り駅への道を急いだ。
予定前に駅に着いてほっとしたのも束の間、目的地に着くまでには四回も乗り換えなければならないのだ。
三時間強の道のり……。
二度の乗り換えの後。
始発駅の上野でボックスでない座席に腰掛けるとカバンから読みかけの文庫本を取り出す。
一度駅に停まっただけで座席は一杯になり文庫本を開くのにも気が引けるほどになった。
いつもより一時間以上早起きをしたせいか、文字を追ううちにまぶたが次第に重くなる。
私は本を諦めてカバンに仕舞い目を閉じた。
停車してドアが開いたとき、蒸れたような匂いと音で気が付いた。
雨がいつ降り始めたのかは判らない。
暫らく見ていると本降りになっているのが腰掛けた対面の窓からでも確認できた。
私は心の中だけで舌打ちをした。
週の始めからいきなり出張だった。
出張先は遠く、朝六時前の列車に乗らなければならない。
怪しい空模様だ。夜中には降っていたのだろう、玄関を出ると道路はまばらに濡れていた。
早朝の青臭い空気。
私は自転車を駆り駅への道を急いだ。
予定前に駅に着いてほっとしたのも束の間、目的地に着くまでには四回も乗り換えなければならないのだ。
三時間強の道のり……。
二度の乗り換えの後。
始発駅の上野でボックスでない座席に腰掛けるとカバンから読みかけの文庫本を取り出す。
一度駅に停まっただけで座席は一杯になり文庫本を開くのにも気が引けるほどになった。
いつもより一時間以上早起きをしたせいか、文字を追ううちにまぶたが次第に重くなる。
私は本を諦めてカバンに仕舞い目を閉じた。
停車してドアが開いたとき、蒸れたような匂いと音で気が付いた。
雨がいつ降り始めたのかは判らない。
暫らく見ていると本降りになっているのが腰掛けた対面の窓からでも確認できた。
私は心の中だけで舌打ちをした。