御影山編
4
今日は朝から市場調査のお仕事だ。やってみるととっても楽しくて、お客様がどんな商品が欲しいと思っているのか、色々と意見を聞く事が出来た。私が思うような欲しい化粧品だけじゃなくて、千差万別、色んなタイプの人がいるんだな〜って改めて勉強にもなった。
和田さんが集計したアンケートをもらい、私は開発センターへと向かった。
その途中、タクシーの中で携帯が鳴った。
「あれ? これ、誰の番号……?」
見覚えの無い番号に一瞬悩みながらも、一応出る。
『葉月、俺だ』
「? 社長!?」
びっくりした、社長が携帯に連絡して来るなんて……まさか、市場調査で気づかないうちに何かポカしてたのかしら!?
『お前、今開発センターに向かってるな?』
「はい……」
『よく聞け。秀麗に、我々の新製品の情報が漏れている』
「えっ?」
『どこから情報が漏れたかは調査中だが、今までよりももっといい商品を作らなければいけなくなった。俺も今からそっちに向かう。部長たちとは話したが、お前が取ったアンケートを軸にさらに商品を練り直す。俺が行くまでに今朝川島に渡されたパソコンに、おおまかな集計結果を入力しろ。もちろんどんな要望が一番多かったか、図説も入れろ。いいな』
「えっ!? しゃ、社長、ちょっと待ってくださーーーい。―――って、切れてるし!」
一体どういう事なの? 情報が漏れてる? どうして? いや、それよりも社長が来るまでのこのデータを入力しておまけに図説まで付けろですって!? 無理に決まってるじゃない!!
「こ、こうしてらんない! すぐに始めなきゃ!」
開発センターに到着するまでの時間も惜しい。私はすぐにパソコンを立ち上げて仕事に取りかかった。