明月院編
「君みたいな素人には何も期待していない。俺の邪魔だけはしないでくれ」
「最初から邪魔をするつもりで選ばせてもらってません。確かに失敗してご迷惑かけることはあるかと思いますけど、自分なりに明月院さんのお役に立てるように一生懸命やりたいんです。集中できないとおっしゃるなら、私は別の部屋を借りてお仕事をしますし、頼まれればどこにでも行きます」
これが私の本心。だってそうでしょ? 邪魔する事が前提で仕事を選ぶなんて、産業スパイじゃあるまいし、あるわけない! それに私はこれでも本気なの! ここで新製品を大ヒットさせないと、一生社長にこき使われる事が決定してるんだから!!
じっと睨むように明月院の目を見つめていると、ふと、ほんの一瞬だけど笑った―――
笑った!?
「まあ、いいよ。やらなきゃいけないことはまだたくさんあるし、君でも出来る仕事も何かあるかも知れないし。ちょっと考えてみる」
「―――あっ、ありがとうございます!」
「だから、大きい声だけはださないで」
「すみません……」
でも良かった! なんか明月院さんって割れたガラスで誰彼構わず斬りつけちゃうのかと思ってたけど、案外人間らしいかも。
ようし、頑張るぞ!!